ステロイド:筋肉増強だけでなく
要約
ステロイドは筋肉増強に使われるだけでなく、喘息の吸入器、湿疹や毒性アイビーの治療用クリーム、炎症を和らげる注射剤などの医薬品にも含まれます。この記事では、多種多様なステロイドがあること、しかし、すべてが同じ分子構造を持っていることを説明しています。ステロイドは天然のものも合成のものもあり、細胞膜を越えて直接遺伝子発現やタンパク質合成に影響を与えることで作用します。記事では、体内に天然に存在するステロイドであるコルチゾールの役割と、炎症を抑えるための医療における使用方法についても説明しています。
目次
- ステロイドとは何か?
- 天然と合成のステロイド
- コルチゾールとその機能
- 免疫系と炎症
- ステロイドの医療使用
- 結論
ステロイドとは何か?
ステロイドは、17個の炭素原子からなる3つの六角形と1つの五角形で構成された4つの環を持つ分子構造を共有する物質です。天然のものも合成のものもありますが、すべてのステロイドが同じ分子構造を持っています。ただし、「ステロイド」という用語は、体内でステロイドが生成される脂質分子であるコレステロールに由来しており、体内でステロイドが生成される物質を指すために用いられます。
天然と合成のステロイド
すべてのステロイドが筋肉増強に用いられるわけではありません。実際、喘息の吸入器、クリーム、炎症を和らげる注射剤に含まれるステロイドは、筋肉増強に用いられるものとは異なります。医療におけるステロイドは、体内で最も重要なストレスシグナルである天然のステロイドであるコルチゾールを基にしています。体内のコルチゾール供給を増強する多くの合成ステロイドがあり、それによって炎症を引き起こす過剰な免疫反応を抑えます。
コルチゾールとその機能
コルチゾールには様々な機能があります。ストレスシグナルを発する体内で最も重要なステロイドであり、ストレス因子にさらされると、視床下部から下垂体に信号が送られます。下垂体は副腎に信号を送り、コルチゾールを生成して放出します。副腎が下垂体から信号を受け取ると、コルチゾールを急速に放出し、エネルギーのためにより多くのブドウ糖を生成し、生存に直接関係のない機能を低下させます。コルチゾールは、戦闘、逃走、凍結反応を活性化することもできます。
免疫系と炎症
コルチゾールは免疫系と複雑に相互作用します。状況によっては、特定の免疫機能を増加または減少させることができます。感染症と戦う過程で、免疫系はしばしば炎症を引き起こします。コルチゾールは、免疫系が炎症を引き起こす能力を抑制するため、短期的には役立ちます。ただし、コルチゾールが過剰になると、骨髄やリンパ節を再生する能力を低下させるなど、負の影響があります。
ステロイドの医療使用
吸入器やクリームのステロイドは、影響を受けた器官(皮膚または肺)にのみ影響を与えます。ループスや炎症性腸疾患などの慢性自己免疫疾患を治療するために使用される静脈内または経口的なステロイドは、全身に影響を与えます。定期的な低用量のステロイド投与は、暴走した免疫反応を抑えるのに役立ちます。ただし、長期間の暴露による負の心理的および生理的影響があるため、高用量の投与は緊急時や悪化時に限定されます。
結論
多種多様なステロイドがあり、すべてが筋肉増強に用いられるわけではありません。コルチゾールなどのステロイドには、体内で多様な機能があり、医療用のステロイドは炎症を抑え、体内の細胞への免疫系の攻撃に対抗するために使用されます。ステロイドを使用することには負の影響がある一方で、特定の状態を治療するための重要なツールとなることもあります。